小学4年から5年にかけて算数嫌いが続出します。次の問題に答えられない人は黄色信号です。
5.分数には2つの意味があります。それは何と何ですか。
量と割合
6.次の文章を読んで、正しいか、間違っているか、答えなさい。
男女1人ずつのA班の女子の割合は\(\frac{1}{2}\)です。
男子2人と女子1人のB班の女子の割合は\(\frac{1}{3}\)です。
A班とB班を合わせた5人の中の女子の割合を求めなさい。
式 \(\frac{1}{2}\) + \(\frac{1}{3}\) = \(\frac{2}{5}\) 答え: \(\frac{2}{5}\)
これは正しいですか?
A班の女子の割合で、「基になる量」は2人です。
ところが、B班の「基になる量」は3人です。
大切なのは、「基になる量」が違う割合同士を対しても意味がないことです。
「基になる量」が同じ割合同士なら足し算に意味があります。
この問題では、A班とB班を合わせた5人を「基になる量」として、
A班の女子1人とB班の女子1人の割合を足すと、
式 \(\frac{1}{5}\) + \(\frac{1}{5}\) = \(\frac{2}{5}\) 答え: \(\frac{2}{5}\)
これなら、正しいといえます。
【参考】
世の中にある物はすべて異なっています。同じ物は1つもありません。たとえゴマ粒1個でも、構成している素粒子の数も違えば形もまちまちです。
個々の違いを見ないで共通要素を見るか、適当に同じと片づけないで違いを詳しく観察・分析するか、学問研究(小中高の勉強はその基礎)はすべてこの2つの見方ができるか否かで決まります。
違いを捨てて(捨象するといいます)共通な要素や側面、性質などを抜き出すことを抽象するといいます。ことばも数も抽象化したものです。個別の差異を問題とせずに共通な要素を取り出して一般化するともいえます。
よく似たことばに帰納という語があります。こちらは、さまざまな現象の中に原因と結果の関係を見い出して、法則化することです。
算数や数学では使うことばの意味内容を厳格に規定します(定義といいます)。そして、論理に矛盾がないこと、例外がないことを確かめながら緻密な体系を築き上げて行くのです。